「カートに商品を入れてもらえるのに、決済画面で離脱されてしまう」「クレジットカードの入力が面倒だと感じるお客様を取りこぼしている気がする」――実店舗を運営しながらECにも力を入れている事業者や、小売企業のEC担当者からよく聞く悩みです。特に日本国内向けのShopifyストアでは、クレジットカード以外の決済手段をどこまで用意するかが、カゴ落ち率や購入率を左右する重要な論点になります。その選択肢のひとつが「楽天ペイ(楽天Pay)」です。楽天市場や楽天カードを日常的に使っている楽天経済圏のユーザーにとって、楽天ペイはログインひとつでカード情報の入力なしに決済できる、心理的ハードルの低い支払い方法として支持されています。
この記事では、Shopifyに楽天ペイを導入する具体的な方法、設定手順、メリット・デメリット、手数料の考え方までを整理して解説します。ただし、決済手段を増やすことだけがカゴ落ち対策やコンバージョン改善のすべてではありません。EC制作・LP改善・広告運用・CRM・在庫配送といった実務全体の中で、決済導入がどこに位置づけられるのかという視点を持って読み進めていただけるよう、実務目線で整理しています。楽天ペイの導入を検討している方はもちろん、Shopifyストア全体の売上改善を考えている方にも参考になる内容です。
Shopifyの決済導入からLP改善・広告運用までまとめて相談したい事業者へ
楽天ペイをはじめとする決済手段の追加は、カゴ落ち対策の一部にすぎません。決済導入だけを個別最適で進めても、チェックアウト全体の設計やLPの訴求、広告からの流入導線がちぐはぐだと売上には結びつきにくいのが実情です。EC Retail Adsでは、小売ECの事業課題に合わせて、サイト制作・決済/計測設計・広告改善・リピート施策まで一気通貫で整理できます。
この記事でわかること
- 楽天ペイの仕組みと、PayPayやd払いなど他のコード決済との違い
- Shopifyへ楽天ペイを導入する具体的な設定手順
- 導入のメリット・デメリットと、見落としがちな注意点
- 決済手数料の構造と、楽天会員基盤を活用した集客効果
- 導入を検討する際によくある疑問への回答
結論:楽天ペイ導入は「誰に売るか」で判断すべき施策
結論から言うと、Shopifyへの楽天ペイ導入は、すべてのストアに一律でおすすめできる施策ではありません。楽天ペイはShopify標準の決済機能(Shopify Payments)だけでは提供できないため、決済代行会社(PSP)と別途契約し、初期費用・月額費用・決済手数料に加えて楽天側の取引手数料も発生する構造になっています。したがって、次のいずれかに当てはまるストアでは導入効果が出やすく、当てはまらないストアでは費用対効果が薄くなりがちです。
主要客層が楽天市場・楽天カード・楽天ポイントを日常的に使う「楽天経済圏ユーザー」と重なっている、実店舗で楽天ペイを既に導入していてオンラインでも同じ決済体験を提供したい、クレジットカード情報の入力に抵抗感のある客層(若年層・高齢層など)の比率が高い――こうした条件に複数当てはまるストアは、カゴ落ち対策として楽天ペイ導入を検討する価値があります。逆に、客層が楽天経済圏と重なりが薄い、すでにクレジットカード決済とApple Pay・Google Payで十分にカバーできている場合は、決済手段を増やすよりもチェックアウトの導線設計やLPの訴求改善のほうが投資対効果が高いケースも少なくありません。この記事では、その判断材料となる情報を一つずつ解説していきます。
判断に迷う場合は、次の3つの問いを自社に当てはめて考えてみてください。1つ目は「既存顧客のうち、楽天市場や楽天カードを日常的に使っている層はどれくらいいるか」。2つ目は「現在のチェックアウト画面で、決済方法の不足を理由にした離脱がどの程度発生していそうか」。3つ目は「決済手数料・取引手数料の増加分を吸収できるだけの粗利率・取引規模があるか」。この3つに明確に答えられない場合は、まず自社のアクセス解析やアンケートで顧客の決済手段の好みを把握することから始めるのが得策です。
| 決済手段 | 主なポイント連携 | 決済手数料の目安 | Shopify対応 | 強みのある客層 |
|---|---|---|---|---|
| 楽天ペイ | 楽天ポイント(貯まる・使える) | 3.74〜4.4%程度+取引手数料 | 決済代行会社経由で対応 | 楽天市場・楽天カード利用層 |
| PayPay | PayPayポイント | PSPにより変動(3〜4%台が目安) | 決済代行会社経由で対応 | 幅広い年齢層、QR決済主要層 |
| d払い | dポイント | PSPにより変動 | 決済代行会社経由で対応 | ドコモ回線・dポイント利用層 |
| au PAY | Pontaポイント | PSPにより変動 | 決済代行会社経由で対応 | au回線・Ponta利用層 |
| クレジットカード(Shopify Payments) | 各カード会社のポイント | 3.25〜3.4%程度(プランにより変動) | Shopify標準機能で対応 | ほぼ全客層(基本決済手段) |
上記はあくまで目安であり、実際の手数料は契約する決済代行会社やShopifyの契約プランによって変動します。重要なのは、楽天ペイに限らずコード決済系の手段は「ポイント経済圏」との相性で選ぶべきという点です。自社の顧客データやアンケートで、どの経済圏のユーザーが多いかを把握したうえで導入を検討すると、無駄な決済手段の乱立を避けられます。
なぜ今、決済手段の拡充が論点になるのか
日本国内のキャッシュレス決済比率は年々上昇を続けており、経済産業省の統計でも決済額全体に占めるキャッシュレス比率は着実に伸びています。その内訳を見ると、クレジットカードが依然として中心ではあるものの、QRコード決済・スマホ決済の利用額も急拡大しています。特に楽天ペイ、PayPay、d払いといった大手コード決済は、実店舗のレジ前でのタッチ決済に慣れたユーザーを多く抱えており、そのままオンライン決済でも同じ体験を求める傾向が強まっています。
一方で、Shopifyストア側の課題として頻出するのが「カゴ落ち(カート放棄)」です。Baymard Instituteの調査など複数の海外調査でも、カート放棄の理由として「クレジットカード情報の入力が面倒・不安」「希望する決済方法がない」が上位に挙げられています。国内の小売EC事業者にとっても、決済手段の選択肢を増やすことは、購入直前での離脱を防ぐ有効な打ち手のひとつです。ただし、決済手段を増やすほどチェックアウト画面の情報量が増え、かえって迷いを生むケースもあるため、「増やす」判断と同じくらい「どう見せるか・どう絞り込むか」の設計も重要になります。
もうひとつの背景として、実店舗を持つ小売事業者がEC展開を進める中で「オフラインとオンラインの決済体験を揃えたい」というニーズが強まっている点も見逃せません。実店舗のレジで楽天ペイを既に導入している事業者にとって、オンラインストアでも同じ決済手段を提供できないことは、顧客から見ると一貫性のない体験になりかねません。O2O(Online to Offline)やOMO(Online Merges with Offline)の観点からも、決済手段の統一はブランド体験の一部として位置づけられるようになっています。決済導入の検討は、単なるコスト計算だけでなく、こうした顧客体験全体の設計と合わせて行うことが望ましいといえます。
楽天ペイ(楽天Pay)とは
楽天ペイは、楽天グループが提供するスマートフォン決済サービスです。実店舗でのレジ決済、送金・割り勘機能、そしてオンラインショップでの決済という複数の用途に対応しており、ユーザーは楽天IDでログインするだけで、事前に登録したクレジットカードや楽天キャッシュから支払いができます。最大の特徴は「楽天ポイント」との連携です。楽天ペイでの支払い時にポイントが貯まり、貯まったポイントは楽天ペイでの支払いに再び充当できます。楽天市場や楽天トラベル、楽天カードなど楽天経済圏のサービスを横断して利用しているユーザーにとっては、ポイントを貯めて使うという行動が習慣化しているため、楽天ペイ対応の有無が購入先を選ぶ判断材料になることもあります。
ECサイトにおける楽天ペイは、購入者がチェックアウト画面で楽天ペイを選択し、楽天IDでログイン・認証することで決済が完了する仕組みです。クレジットカード番号やセキュリティコードをその場で入力する必要がないため、入力の手間や情報漏えいへの不安を軽減できる点が、コード決済全般に共通するメリットとして挙げられます。
なお、楽天ペイという名称は実店舗向けの「楽天ペイ(実店舗決済)」とオンライン向けの「楽天ペイ(オンライン決済)」で提供形態が分かれており、Shopifyのような外部ECプラットフォームでは、後者に相当する仕組みを決済代行会社経由で利用する形になります。実店舗の楽天ペイ端末とオンラインストアの決済設定は別管理となるため、両方を導入する場合は、それぞれの契約・設定を個別に進める必要がある点も押さえておきましょう。
Shopifyに楽天ペイを導入する方法
Shopifyの標準決済機能であるShopify Paymentsは、国内向けにはクレジットカード決済を中心に提供されており、楽天ペイは含まれていません。そのため、楽天ペイをShopifyストアに追加するには、楽天ペイの取り扱いに対応した決済代行会社(PSP)と契約し、Shopify管理画面上で連携設定を行う必要があります。ここでは一般的な導入の流れをステップごとに解説します。
ステップ1:決済代行会社(PSP)を選定する
まず、楽天ペイの取り扱いに対応しているオンライン決済代行会社を選定します。決済代行会社によって、初期費用・月額固定費・決済手数料率・審査期間・サポート体制が異なるため、自社の取引規模や資金繰りに合わせて比較検討することが重要です。目安として、初期費用や月額費用が発生するタイプと、初期費用ゼロ・月額固定費ゼロで決済手数料率のみで運用できるタイプの大きく二系統があります。取引件数がまだ少ない立ち上げ期のストアは固定費が発生しないタイプ、一定の取引量が見込めるストアは決済手数料率が低いタイプが有利になりやすい傾向があります。複数社から見積もりを取り、手数料の内訳(決済手数料本体、サービス利用料、トランザクション費用など)を必ず確認しましょう。
ステップ2:申込み・加盟店審査を行う
決済代行会社を決めたら、事業者情報・取扱商材・想定取引規模などを申告して加盟店審査を申し込みます。審査では、特定商取引法に基づく表記や返品ポリシーの整備状況、取扱商品が規約上問題ないかなどがチェックされます。審査には数日から数週間程度かかることが一般的で、繁忙期前に導入を予定している場合は余裕を持ったスケジュールで申し込むことが大切です。個人事業主でも申込み自体は可能な決済代行会社が多いですが、事業実態の確認書類(開業届、通帳、本人確認書類など)の提出を求められることがあります。
ステップ3:Shopify管理画面で決済方法を連携する
審査が完了し、決済代行会社からAPIキーなどの接続情報が発行されたら、Shopify管理画面の「設定」>「決済」から、対象の決済代行会社が提供するアプリまたは連携機能を有効化します。多くの場合、Shopifyアプリストアで決済代行会社の公式アプリをインストールし、発行されたAPIキーやシークレットキーを入力することで連携が完了します。連携設定画面では、楽天ペイを含む取扱決済方法の中から必要なものにチェックを入れて有効化します。
ステップ4:テスト決済で動作を確認する
本番公開前に、必ずテスト環境またはテスト用の少額注文で楽天ペイ決済が正常に完了するかを確認します。チェックアウト画面に楽天ペイのボタンが正しく表示されるか、決済完了後の注文ステータスが正しく反映されるか、返金処理が問題なく行えるかを一通り確認しておくと、公開後のトラブルを防げます。決済代行会社によってはテストモード(サンドボックス環境)が用意されているため、本番の決済情報を使わずに動作確認ができる場合もあります。
ステップ5:チェックアウト画面での表示順・見せ方を調整する
決済方法が増えると、チェックアウト画面に並ぶ選択肢も増えます。Shopifyでは決済方法の表示順を管理画面から並び替えられるため、自社の客層に合わせてよく使われる決済方法を上位に配置するなど、迷わせない見せ方を意識しましょう。決済方法のロゴやアイコンが正しく表示されているか、スマートフォン画面でも見切れずに表示されるかもあわせて確認しておくと安心です。
ステップ6:条件に応じた決済方法の出し分けを検討する
楽天ペイをはじめとするコード決済は、決済代行会社によって利用可能な上限金額が設定されている場合や、特定商材(デジタルコンテンツ、金券類など)では利用不可となる場合があります。こうしたケースに対応するため、Shopifyでは「Cart and Checkout Validation」の仕組みを使い、注文金額や商品カテゴリーに応じて特定の決済方法を非表示にするアプリを活用できます。たとえば「合計金額が一定額以上の場合は楽天ペイを非表示にする」「デジタル商品が含まれる注文では対象決済方法を除外する」といった制御が可能です。決済代行会社の利用規約を確認し、必要に応じてこうした表示制御の仕組みも検討しておくと、後々のトラブルを防げます。
楽天ペイを導入するメリット
楽天ペイをShopifyストアに導入することで得られる主なメリットは、次の3つに整理できます。
クレジットカード情報の入力が不要になる
楽天ペイは楽天IDでログインするだけで決済が完了するため、購入者はその場でカード番号や有効期限、セキュリティコードを入力する必要がありません。入力の手間が省けるだけでなく、「オンラインでカード情報を入力すること自体に不安を感じる」層の心理的ハードルを下げる効果も期待できます。特にスマートフォンからの購入では、入力フォームの手間がそのまま離脱理由になりやすいため、ワンタップに近い決済体験を提供できることは大きな利点です。
楽天ポイントが貯まる・使えることによる訴求力
楽天ペイでの決済に対して楽天ポイントが付与され、貯まったポイントを次回以降の支払いに充当できます。楽天市場や楽天カードを日常的に利用しているユーザーにとって、ポイントを貯めて使うという行動は購買行動の一部として定着しています。楽天ペイに対応していることで、こうした楽天経済圏のユーザーに対して「ポイントが貯まる・使える店」という訴求ができ、他の決済手段では代替しにくい心理的な後押しになります。
カゴ落ち対策として機能する
前述の通り、決済手段の不足はカート放棄の主要な要因のひとつです。特に「希望する決済方法がない」という理由での離脱は、決済手段を追加することで直接的に改善できる数少ない課題でもあります。楽天ペイを含むコード決済の選択肢を用意することで、クレジットカードを持っていない・使いたくない層や、入力の手間を避けたい層を取りこぼしにくくなります。
実店舗とオンラインの決済体験を統一できる
複数の実店舗を展開する小売事業者にとって、レジでの決済手段とオンラインストアの決済手段が異なることは、顧客から見ると一貫性のない体験になりがちです。実店舗で楽天ペイを導入している場合、オンラインストアでも同じ決済手段を提供することで、「どちらのチャネルで買っても同じように支払える・同じようにポイントが貯まる」という安心感を顧客に与えられます。これは短期的な売上効果だけでなく、中長期的なブランドへの信頼構築にもつながる要素です。
楽天ペイを導入するデメリット
一方で、導入前に理解しておくべきデメリットも存在します。
決済手数料に加えて取引手数料が発生する
最大のデメリットは、コストが二重にかかる構造です。決済代行会社に支払う決済手数料に加えて、Shopifyのプランによっては外部決済ゲートウェイの利用に対する「取引手数料」が別途発生します。取引手数料はShopifyのプランによって料率が異なり、上位プラン(Shopify Plusなど)ほど料率が低く設定されているのが一般的です。低価格帯のプランで取引量が多いストアほど、この取引手数料の負担が相対的に大きくなる点には注意が必要です。契約前に、決済代行会社への手数料とShopifyの取引手数料を合算したトータルコストで試算しておくことをおすすめします。
導入・審査に一定の時間とコストがかかる
Shopify Paymentsのようにワンクリックで有効化できるわけではなく、決済代行会社の選定、申込み、加盟店審査、Shopifyとの連携設定、テスト決済という複数の工程を経る必要があります。審査には数日から数週間かかることもあり、繁忙期に間に合わせたい場合は早めの着手が欠かせません。また、決済代行会社によっては初期費用や月額固定費が発生するため、取引規模に対してコストが見合うかを事前に試算しておく必要があります。
決済方法が増えることでチェックアウト画面が煩雑になりやすい
決済手段を増やすこと自体はメリットですが、選択肢が増えすぎるとかえって購入者の意思決定を遅らせ、離脱を招く場合があります。「たくさん決済方法を用意すれば売れる」わけではなく、自社の客層に本当に必要な決済手段を見極めたうえで、表示順や見せ方を工夫することが重要です。前章で触れた表示制御の仕組みも活用しながら、無秩序に決済方法を増やさない運用設計を心がけましょう。
利用できる商材・取引条件に制限がある場合がある
決済代行会社や楽天ペイ側の規約により、デジタルコンテンツ、金券・チケット類、一部の高額商材などは楽天ペイでの取り扱いが制限されている場合があります。また、海外発送を行う越境ECの場合、楽天ペイは基本的に国内向けの決済手段であるため、海外の購入者には案内できない点にも注意が必要です。自社の取扱商材や販売先が、決済代行会社の規約上問題なく利用できるかを事前に確認しておきましょう。
手数料の考え方と楽天会員基盤による集客効果
楽天ペイ導入時のコストは、大きく「決済代行会社に支払う決済手数料」「Shopifyのプランに応じた取引手数料」の2つで構成されます。決済代行会社ごとに料率や費用体系は異なり、初期費用・月額費用が発生するタイプは手厚いサポートや細かなカスタマイズに強みがある一方、初期費用・月額費用ゼロで決済手数料率のみのタイプは、立ち上げ期や取引量がまだ少ないストアにとって始めやすいという特徴があります。いずれのタイプでも、決済手数料の内訳(決済手数料本体、サービス利用料、トランザクションごとの固定費用など)が複数項目に分かれていることが多いため、見積もり段階で「実質的な負担率」を必ず確認しましょう。
コスト面だけを見ると、楽天ペイの導入は負担増に感じられるかもしれません。しかし、楽天ペイには「楽天会員基盤へのアクセス」という他の決済手段にはない副次的な価値があります。楽天グループは国内で1億人を超える会員基盤を持つとされており、楽天市場・楽天トラベル・楽天カード・楽天モバイルなど複数のサービスを横断して利用するユーザーが多数存在します。こうしたユーザーは日常的にポイント経済圏を意識した消費行動を取る傾向が強く、「楽天ポイントが貯まる・使える」という訴求は、単なる決済手段の追加を超えたブランド接点になり得ます。特に、実店舗で楽天ペイを導入済みの小売事業者がオンラインストアでも同じ決済体験を提供する場合、オフラインとオンラインで一貫した顧客体験を構築できる点も見逃せないメリットです。手数料負担と集客効果のどちらが自社にとって重いかは、既存顧客データにおける楽天経済圏ユーザーの比率や、実店舗での楽天ペイ利用実績などを踏まえて判断するのが現実的です。
具体的なコストイメージを持つために、簡易的な試算例で考えてみましょう。仮に決済手数料率を4%前後、Shopifyの取引手数料を1〜2%程度と仮定した場合、楽天ペイ経由での月間売上が50万円であれば、月あたりのコストはおおよそ2万5千円〜3万円程度が目安になります。ここに決済代行会社の月額固定費が加わる契約形態であれば、さらに数千円〜1万円程度が上乗せされます。一方で、楽天ペイ導入によってカゴ落ち率が数ポイント改善し、月間の追加受注が数件〜十数件生まれるのであれば、コストを上回るリターンが見込める可能性があります。自社の平均客単価とカゴ落ち率の実測値を使って、同様の試算を行ってみることをおすすめします。
導入作業を自社で行うか、外部パートナーに依頼するか
楽天ペイの導入は、決済代行会社の選定から審査対応、Shopifyとの連携設定、テスト決済、表示制御の設計まで、複数の工程にまたがる作業です。ECの運用体制に技術的な知見を持つ担当者がいる場合は自社対応も十分可能ですが、日々の受注対応や在庫管理、広告運用などと兼務しながら進めるとなると、想定より時間がかかることも珍しくありません。特に、決済代行会社ごとに仕様やAPI連携の作法が異なるため、複数社を比較検討しながら最適な選択をするには一定の専門知識が求められます。
自社リソースが限られている場合は、Shopify構築や決済導入を専門とする外部パートナーに依頼するという選択肢もあります。外部パートナーに依頼するメリットは、決済代行会社の選定における中立的な比較検討、審査書類の準備サポート、連携設定やテストの代行といった実務負担の軽減だけではありません。決済導入を単体の作業として終わらせず、チェックアウト全体のUI設計、LPの訴求改善、広告からの流入導線、CRMによるリピート施策といった、売上に直結する周辺施策とセットで設計できる点が本質的な価値です。決済手段を増やすこと自体が目的化してしまわないよう、EC全体の戦略の中に位置づけて進めることが、投資対効果を最大化するポイントになります。
導入後の運用で押さえておきたいポイント
楽天ペイの導入は、決済ボタンを表示させて終わりではありません。安定して運用していくためには、いくつかの実務上の注意点を事前に把握しておく必要があります。
返金・キャンセル対応のフローを確認しておく
クレジットカード決済と異なり、コード決済は決済代行会社ごとに返金処理の仕様や反映タイミングが異なる場合があります。全額返金・一部返金それぞれの操作方法、返金が購入者側に反映されるまでの日数、注文キャンセル時の自動返金の可否などを、導入前に決済代行会社のマニュアルやサポート窓口で確認しておきましょう。カスタマーサポート担当者にも、決済方法ごとの返金対応フローを共有しておくと、問い合わせ対応時に混乱を防げます。
決済エラー時の問い合わせ導線を用意する
楽天ID側の認証エラーや、決済代行会社側のシステム障害など、購入者側の操作ミス以外の理由で決済が完了しないケースも起こり得ます。決済エラーが発生した際に、購入者がどこに問い合わせればよいか(自社サポート窓口か、楽天側の窓口か)を明確にしておくと、問い合わせ対応の負荷を抑えられます。よくあるエラーパターンとその対処法をFAQページやカスタマーサポート用のマニュアルにまとめておくことも有効です。
決済方法別の売上・利用率を定点観測する
導入して終わりにせず、楽天ペイ経由の注文がどの程度の比率を占めているか、導入前後でカゴ落ち率にどのような変化があったかを定期的に確認することが重要です。Shopify管理画面のレポート機能や、決済代行会社の管理画面で決済方法別の取引データを確認できる場合が多いため、月次・四半期ごとに数値を振り返り、想定していたコストに見合う効果が出ているかを検証しましょう。効果が薄いと判断した場合は、表示順位を下げる、特定の商品カテゴリーのみに限定するなど、運用方法を見直す選択肢もあります。
よくある質問(FAQ)
Shopify Payments(標準決済)だけでは楽天ペイは使えませんか
使えません。Shopify Paymentsは主にクレジットカード決済を中心に提供される機能で、楽天ペイのようなコード決済は含まれていません。楽天ペイを利用するには、楽天ペイの取り扱いに対応した決済代行会社と別途契約し、Shopify管理画面で連携設定を行う必要があります。
楽天ペイの導入にはどれくらいの期間がかかりますか
決済代行会社の選定から加盟店審査、Shopifyとの連携設定、テスト決済までを含めると、早くても2〜3週間、審査状況によっては1カ月以上かかることもあります。セールや繁忙期に合わせて導入したい場合は、余裕を持ったスケジュールで準備を始めることをおすすめします。
個人事業主でも楽天ペイを導入できますか
多くの決済代行会社は法人・個人事業主どちらの申込みにも対応しています。ただし、開業届の提出状況や事業実態を確認する書類の提出を求められる場合があるため、事前に各決済代行会社の申込み要件を確認しておくとスムーズです。
楽天ペイの手数料はクレジットカード決済より高いのですか
一概には言えませんが、決済代行会社を経由する分、Shopify Payments単体でのクレジットカード決済と比べてコスト構造が複雑になりやすい傾向はあります。決済手数料に加えてShopifyの取引手数料が加算されるケースもあるため、契約前に各費用項目を合算したトータルコストで比較することが重要です。
楽天ペイを導入すれば必ず売上が伸びますか
決済手段の追加だけで売上が伸びることを保証するものではありません。楽天ペイの効果が出やすいのは、自社の客層と楽天経済圏ユーザーの重なりが大きい場合です。客層とのミスマッチがある場合は、決済手段を増やすよりもLPの訴求改善やチェックアウト導線の最適化のほうが効果的なケースもあります。導入前に自社の顧客データを分析し、費用対効果を見極めることが大切です。
楽天ペイとPayPayはどちらを優先して導入すべきですか
どちらを優先すべきかは、自社の顧客層がどちらの経済圏に多く属しているかで判断するのが基本です。楽天市場・楽天カードの利用率が高い客層であれば楽天ペイ、幅広い年齢層に対して汎用的にコード決済を提供したい場合はPayPayが候補になりやすい傾向があります。両方を同時に導入する事業者もありますが、その場合は決済手数料や運用工数が二重にかかる点を踏まえ、段階的に導入して効果を検証しながら判断するのも一つの方法です。
楽天ペイ導入後、表示を一部の商品だけに限定することはできますか
可能です。ステップ6で触れたCart and Checkout Validationの仕組みを使えば、特定の商品カテゴリーや注文金額の条件に応じて、楽天ペイを含む決済方法の表示・非表示を制御できます。デジタルコンテンツなど決済代行会社の規約上取り扱いに制限がある商材を扱う場合や、高額商品のみクレジットカード決済に限定したい場合などに活用されています。
まとめ
Shopifyへの楽天ペイ導入は、クレジットカード情報の入力を省略できる利便性、楽天ポイントによる訴求力、カゴ落ち対策としての効果が期待できる一方で、決済代行会社との契約や審査、決済手数料と取引手数料の二重負担、チェックアウト画面の煩雑化といった課題も伴います。導入を成功させるポイントは、自社の客層と楽天経済圏ユーザーの重なりを見極めたうえで、決済代行会社の選定から表示制御の設計までを一つの施策として計画することです。
導入を検討する際は、まず自社の顧客データや実店舗での決済実績を振り返り、楽天経済圏ユーザーがどの程度の比率を占めているかを把握するところから始めましょう。そのうえで複数の決済代行会社から見積もりを取り、決済手数料・取引手数料・初期費用・月額費用を合算したトータルコストを試算し、想定されるカゴ落ち改善効果と比較する。この一連の検討プロセスを丁寧に踏むことで、「なんとなく導入した決済手段」ではなく、費用対効果の見込める施策として楽天ペイを位置づけることができます。
また、決済手段の追加はカゴ落ち対策の一部にすぎず、LPの訴求力、広告からの流入導線、CRMによるリピート施策、在庫・配送体制など、EC全体の設計と切り離して考えることはできません。EC Retail Adsでは、Shopifyストアの制作・決済導入・LP改善・広告運用・CRM設計までを一気通貫でサポートしています。楽天ペイの導入を含め、自社のECサイト全体の売上改善について相談したい場合は、ぜひEC Retail Adsまでお問い合わせください。


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