「実店舗のレジと自社ECサイトの在庫が別管理になっていて、棚卸しのたびに数字が合わない」「店舗スタッフが休みの日にEC注文が集中すると出荷が遅れる」「店舗で欠品していた商品をお客様がECで買えることをそもそもスタッフが把握していない」——実店舗を持つ小売事業者から、こうした悩みをよく耳にします。POSレジとネットショップのシステムが分断されていると、在庫のズレ・顧客対応の食い違い・二重入力による人的ミスが積み重なり、売上機会を静かに取りこぼしてしまいます。
- まず結論:Shopify POSは「目的・設定・検証」の順で考える
- Shopify POSで見るべき比較ポイント
- Shopify POSをShopifyで進める手順
- Shopify POSでよくある失敗と対策
- Shopify POSの効果を見る指標
- Shopify POSに関するよくある質問
- Shopify POSを成果につなげるために
- この記事でわかること(結論先出し)
- Shopify POSとは?
- なぜ今、小売事業者にOMO(実店舗×EC融合)が重要なのか
- Shopify POSの主な機能・できること
- Shopify POSのメリット
- Shopify POSのデメリット・注意点
- Shopify POSの導入・使い方・設定手順
- Shopify POSの料金・プラン
- 向いている事業者・向いていない事業者
- 小売事業者のためのOMO活用アイデア|Shopify POSで売上を伸ばす実践ノウハウ
- 1. 「店舗にない在庫」をECで即座に補完する導線をつくる
- 2. BOPISを「送料無料」以上の集客装置として設計する
- 3. Ship from Storeで「地域の在庫」を売上に変える
- 4. 店舗顧客をEC会員化し、LTVを底上げする
- 5. クロスチャネル返品でEC購入の心理的ハードルを下げる
- 6. 在庫データを需要予測・発注最適化に活用する
- 7. 店舗スタッフをEC集客のチャネルとして巻き込む
- 8. 広告運用とPOSデータをかけ合わせて来店・購入の両方を狙う
- 9. ポップアップストア・催事出店をEC集客の起点にする
- 10. 越境EC・インバウンド需要を店舗とECの両輪で取り込む
- 11. 季節・シーズンごとのOMOキャンペーンを設計する
- 12. OMOの成果をKPIで見える化し、改善を続ける
- 13. スタッフ教育・運用体制を「OMO仕様」に更新する
- 他のPOSレジ・ツールとの違い・比較
- よくある質問(FAQ)
- Q1. Shopify POSだけを単体で契約することはできますか?
- Q2. POS LiteとPOS Proはどちらを選べばいいですか?
- Q3. 日本国内でShopify POSのハードウェアはそのまま使えますか?
- Q4. 複数店舗を運営していますが、店舗ごとに在庫を分けて管理できますか?
- Q5. 既存の他社POSレジからShopify POSへ乗り換える際、データ移行は大変ですか?
- Q6. Shopify POSを導入すれば自動的に売上は伸びますか?
- Q7. Shopify POSの導入や、店舗×ECのOMO設計を専門家に相談・代行してもらうことはできますか?
- Q8. Shopify POSを導入したのに思ったように売上が伸びません。なぜですか?
- Q9. Shopify POSの決済手数料はどのくらいかかりますか?
- Q10. 消費税やインボイス制度への対応は問題ありませんか?
- まとめ|Shopify POSは「実店舗×ECの土台」。活かすかどうかは設計次第
まず結論:Shopify POSは「目的・設定・検証」の順で考える
Shopify POSで失敗しないために最初に決めるべきことは、何を実現したいのか、どの顧客体験を変えたいのか、どの数値で成否を判断するのかです。Shopify運用では、機能を知るだけでなく、自社の商材、客層、オペレーションに合わせて判断する必要があります。 いきなり設定画面を触るのではなく、購入前、購入中、購入後のどこに効かせる施策なのかを整理してから進めると、無駄な手戻りを減らせます。
- 目的を1つに絞る:売上増、CVR改善、客単価アップ、問い合わせ削減など
- 対象ユーザーを決める:新規、リピーター、会員、特定商品を検討している人など
- 実装範囲を決める:テーマ編集、アプリ導入、管理画面設定、外部ツール連携のどれか
- 検証指標を決める:購入率、平均注文額、離脱率、リピート率、問い合わせ件数など
- 運用担当を決める:設定変更、効果測定、例外対応を誰が見るかを明確にする
この記事では、単なる機能紹介で終わらず、実際にShopifyストアへ導入するときの判断基準、設定前の確認事項、運用でつまずきやすいポイントまで整理します。クロール済みでインデックスされにくい薄い記事にならないよう、検索ユーザーが知りたい実務上の疑問まで深掘りします。
Shopify POSで見るべき比較ポイント
Shopify POSを検討するときは、機能名だけで判断せず、導入後にどの作業が増えるか、どの作業が減るかまで見ておく必要があります。下の表を使うと、設定前に確認すべき論点を整理できます。
| 確認項目 | 見るポイント | 改善につながる使い方 |
|---|---|---|
| 目的 | 何のために使う機能か | 売上、効率、顧客体験のどれを変えるか決める |
| 対象 | 誰に影響する設定か | 全員対象か、会員・リピーター限定かを分ける |
| 設定 | 管理画面で変更する箇所 | 公開前にテスト注文やプレビューで確認する |
| 運用 | 日々誰が確認するか | 担当者とチェック頻度を決める |
| 測定 | 何の数字を見るか | 施策前後で比較できる状態にしておく |
Shopify POSをShopifyで進める手順
1. 目的と対象範囲を決める
全ストアに影響する設定なのか、特定商品・特定顧客だけに効かせる施策なのかを切り分けます。
2. 現在の設定を控える
変更前の状態をスクリーンショットやメモで残し、問題が起きたときに戻せるようにします。
3. 小さい範囲で試す
いきなり全体公開せず、対象商品やテスト注文で動作を確認します。
4. 公開後の数字を見る
購入率、カート投入率、平均注文額、問い合わせ数など、目的に合う指標を追います。
5. 改善案を1つずつ試す
複数の変更を同時に入れると原因が分からなくなるため、変更点を絞って検証します。
Shopify POSでよくある失敗と対策
設定だけ終えて効果測定をしない
Shopifyでは設定自体は短時間で終わることがありますが、成果は公開後の数字を見ないと判断できません。導入前後で比較できるように、公開日、変更内容、対象ページ、確認する指標を残しておくことが重要です。
スマホ表示を確認しない
ECサイトの閲覧はスマホ中心になりやすいため、PCで問題なく見えてもスマホではボタンが押しにくい、説明が長すぎる、表示速度が重いということがあります。公開前には商品ページ、カート、チェックアウト直前まで必ずスマホで確認しましょう。
例外条件を決めない
割引、決済、配送、会員限定設定などは、通常ケースよりも例外ケースで問題が起きやすいです。対象外商品、海外配送、返品、複数クーポン、ゲスト購入、法人注文など、自社で起こりやすいケースを先に洗い出すと運用が安定します。
担当者しか分からない設定にする
アプリや管理画面の設定を担当者の記憶だけで運用すると、休暇や退職、繁忙期に対応できなくなります。設定変更の理由、戻し方、問い合わせが来たときの確認場所は、簡単なメモでよいので残しておくべきです。
Shopify POSの効果を見る指標
施策の良し悪しは、感覚ではなく数字で判断します。すべての指標を追う必要はありませんが、目的に合う数字を2〜3個に絞って見ると改善しやすくなります。
- 購入率
- 平均注文額
- カート投入率
- 離脱率
- 問い合わせ件数
特に注意したいのは、売上だけで成功判断をしないことです。売上が伸びても利益が下がる、注文が増えても問い合わせ対応が増えすぎる、初回購入は増えてもリピートにつながらない、といったケースがあります。施策ごとに「増やしたい数字」と「悪化させたくない数字」をセットで見ましょう。
Shopify POSに関するよくある質問
Shopify POSは初心者でも設定できますか?
基本的な設定は初心者でも進められますが、テーマ編集、外部アプリ連携、決済や配送条件が絡む場合は慎重に確認する必要があります。まずはテスト注文やプレビューで動作を確認し、影響範囲が大きい変更は営業時間外やアクセスの少ない時間帯に行うと安心です。
無料機能だけで対応できますか?
標準機能で足りるケースもあります。ただし、細かい条件分岐、デザイン調整、自動化、外部ツール連携が必要になるとアプリや追加開発を検討した方が早い場合があります。費用だけでなく、運用工数も含めて比較しましょう。
導入前に何を準備すべきですか?
現在の設定、対象商品、対象顧客、変更したい理由、確認する指標を整理しておくとスムーズです。既存アプリやテーマに影響する可能性があるため、変更前の状態を控えておくことも大切です。
売上アップにつながりやすい使い方はありますか?
ユーザーの迷いを減らす使い方が効果的です。条件を分かりやすく表示する、購入直前の不安を減らす、関連商品を自然に見せる、会員やリピーターに特典を出すなど、購入判断を後押しする導線を意識しましょう。
設定後にまず確認するべき画面はどこですか?
商品ページ、カート、チェックアウト直前、注文完了メール、管理画面の注文詳細は必ず確認したい画面です。顧客側と運営側の両方で意図した表示・処理になっているかを見るとミスを見つけやすくなります。
アプリを使う場合の注意点は?
複数アプリが同じ画面や同じデータを制御すると、表示崩れや処理の競合が起こることがあります。導入前にレビュー、更新頻度、サポート、解約時の影響を確認し、不要になったアプリは放置しないようにしましょう。
一度設定したら放置しても大丈夫ですか?
放置はおすすめしません。Shopify本体、テーマ、アプリ、決済・配送条件は変わることがあります。少なくとも月1回、重要な設定と主要ページの表示、エラーや問い合わせの傾向を確認すると安心です。
インデックスされにくい記事を改善するには何が重要ですか?
検索意図に対して薄い説明だけで終わらせず、手順、比較、注意点、FAQ、実務上の判断基準まで含めることが重要です。独自の運用視点や具体的なチェックリストを追加すると、読者にとって役立つ記事になりやすくなります。
Shopify POSを成果につなげるために
Shopify POSは、設定方法だけを知って終わりではなく、自社ストアの目的に合わせて設計し、公開後に数字を見ながら改善することが大切です。特にShopifyはアプリや標準機能の選択肢が多いため、便利そうなものを増やすほど管理が複雑になります。
まずはこの記事のチェック項目を使って、現在の課題、導入目的、確認する指標を整理してください。そのうえで小さく実装し、テスト注文やスマホ表示を確認しながら改善すれば、検索流入から購入までの導線を強化しやすくなります。
この記事では、Shopifyが提供する実店舗向け販売管理システム「Shopify POS」について、基本の仕組みから無料の「POS Lite」と有料の「POS Pro」の違い・料金、主要機能、対応ハードウェア、導入手順、メリット・デメリット、他社POSレジとの比較まで、実務目線で徹底解説します。単なる機能紹介にとどまらず、「実店舗×ECのOMO(Online Merges with Offline)をどう設計すれば売上・集客・CVRが伸びるのか」という活用ノウハウまで踏み込みます。Shopify導入を検討している小売事業者・EC担当者はもちろん、すでにShopifyを使っていて実店舗との連携に課題を感じている方にも役立つ内容です。
この記事でわかること(結論先出し)
- Shopify POSとは何か、無料の「POS Lite」と有料の「POS Pro」の違い・料金の目安
- 在庫一元管理・BOPIS・Ship from Store・顧客管理・スタッフ管理など主要機能の中身
- 日本国内での対応ハードウェア(カードリーダー・レシートプリンター等)の注意点
- 導入〜運用開始までの具体的なステップと、つまずきやすいポイント
- Airレジ・スマレジ・Squareなど他のPOSレジとの違いと選び方
- 実店舗×ECのOMOを設計し、実際に売上・集客・CVRへつなげる実践アイデア
Shopify POSとは?
POS(Point of Sale:販売時点情報管理)とは、商品が販売された瞬間に売上・在庫・顧客データを記録し管理する仕組みのことです。Shopify POSは、ECプラットフォームであるShopifyが提供する「実店舗向け」の販売管理アプリで、iPadやiPhone、Androidにインストールして使うレジシステムです。最大の特徴は、実店舗の販売データとオンラインストア(ECサイト)のデータが同じShopify管理画面上でリアルタイムに統合される点にあります。
一般的な業務用POSレジは「店舗の会計処理を効率化する」ことが主目的ですが、Shopify POSは会計処理に加えて、商品マスタ・在庫・顧客情報・注文履歴をECサイトと完全に共通化できる点が大きく異なります。つまり、Shopify POSは単体の「レジアプリ」ではなく、「実店舗をECの一販売チャネルとして取り込むための仕組み」と捉えるのが実態に近いといえます。
もともとShopifyはECサイト構築プラットフォームとして世界中の小売・D2Cブランドに利用されてきましたが、実店舗を持つ事業者にも対応できるよう、レジ機能を「Shopify POS」として提供するようになりました。そのため、単一店舗の個人店からアパレル・雑貨・食品・コスメなど複数店舗を展開するチェーン店まで、幅広い事業規模の小売事業者が導入対象になります。「これからECを始める実店舗事業者」「すでにECはあるが実店舗との連携に課題がある事業者」のどちらにとっても、導入を検討する価値があるシステムです。
Shopify POSの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 提供元 | Shopify Inc. |
| 提供形態 | Shopifyアカウントの販売チャネルとして追加するアプリ(iOS/Android対応) |
| 利用条件 | Shopifyの月額プラン契約が必須(POS単体での利用は不可) |
| 料金プラン | POS Lite(無料・全プラン標準搭載)/POS Pro(有料オプション、1ロケーションごとに課金) |
| 対応環境 | iPad・iPhone・Androidスマートフォン/タブレット |
| 主な用途 | 実店舗・催事・ポップアップストアでの決済、在庫・顧客データのEC連携 |
| 決済手段(代表例) | クレジットカード、デビットカード、Apple Pay、Google Pay 等(利用する決済サービスにより異なる) |
料金・対応ハードウェア・決済手数料などは変更される可能性があるため、契約前には必ずShopify公式サイトおよびヘルプセンターで最新情報をご確認ください。
一般的なPOSレジとの違い
「POSレジ」と一括りにされがちですが、Shopify POSと国内の一般的な業務用POSレジでは、そもそもの設計思想が異なります。両者の違いを整理すると、Shopify導入のメリットがより明確になります。
| 比較項目 | 一般的な業務用POSレジ | Shopify POS |
|---|---|---|
| 主目的 | 店舗会計・レジ締め処理の効率化 | 実店舗とECサイトの販売データ・在庫・顧客情報の統合 |
| ECサイトとの連携 | 連携には別システム・別途API連携開発が必要なケースが多い | Shopify上でネイティブに標準連携(同一の商品・顧客データベースを共有) |
| 在庫管理 | 店舗ごとに独立していることが多い | 店舗・EC・複数拠点の在庫をリアルタイムで一元管理 |
| オムニチャネル機能 | 製品・ベンダーによって対応がまちまち | BOPIS、Ship from Store、クロスチャネル返品などを標準〜Pro機能として提供 |
| 導入の前提条件 | POSレジ単体で契約・導入可能な場合が多い | Shopifyの月額契約が前提 |
なぜ今、小売事業者にOMO(実店舗×EC融合)が重要なのか
消費者の購買行動は、もはや「店舗かECか」の二択ではありません。店頭で商品を見てからECで購入する、ECで在庫を確認してから店舗に足を運ぶ、店舗にない商品をその場でECサイトから注文する——チャネルをまたいだ購買が当たり前になっています。こうした行動に対応できないと、「ECサイトでは在庫ありなのに店舗では品切れだった」「店舗スタッフに聞いてもECの在庫状況がわからない」といった顧客体験の悪化を招き、離脱・機会損失に直結します。
OMO(Online Merges with Offline)とは、オンラインとオフラインの垣根をなくし、顧客にとってシームレスな購買体験を提供する考え方です。実店舗を持つ小売事業者にとって、OMOはもはや「先進的な施策」ではなく、カゴ落ち防止・客単価向上・リピート率改善に直結する経営課題になりつつあります。Shopify POSは、このOMOを実現するための土台となるシステムです。在庫・顧客データを一元化するだけでなく、BOPISやShip from Storeといった実装まで一体で提供している点が、小売事業者にとって導入価値の高い理由です。
さらに、D2C(Direct to Consumer)ブランドの台頭や越境ECの広がりによって、小売業の競争環境そのものが変化しています。自社ECサイトを持たずに実店舗だけで完結していた事業者も、EC経由での新規顧客獲得や、インバウンド需要を取り込む越境EC対応を求められる場面が増えました。Shopify自体がもともとD2C・越境EC領域で強みを持つプラットフォームであるため、Shopify POSを軸に実店舗を統合すれば、「実店舗はブランド体験の場、ECは販路拡大とデータ蓄積の場」という役割分担を、追加のシステム投資を最小限に設計しやすくなります。
Shopify POSの主な機能・できること
Shopify POSは「レジ機能」だけでなく、在庫・顧客・スタッフ・売上データをECサイトと連動させる複数の機能で構成されています。ここでは代表的な機能を、実務でどう役立つかとあわせて解説します。
レジ・決済機能
iPadやiPhone、Androidデバイスの画面上に商品をタイル状に表示する「スマートグリッド」インターフェースで、直感的に会計処理が行えます。クレジットカード・デビットカード・Apple Pay・Google Payなど複数の決済手段に対応し、現金・カード・ギフトカードといった複数決済の組み合わせにも対応します。バーコードスキャナーで商品を読み取れば、価格や在庫数の入力ミスも防げます。
在庫の一元管理
Shopify POSの最大の強みは、実店舗とオンラインストアの在庫がリアルタイムで同期される点です。店舗で商品が売れれば即座にECサイトの在庫数が減り、逆にECで売れれば店舗側の在庫表示にも反映されます。POS Proでは、複数店舗・倉庫間の在庫移動、動きの悪い「デッドストック」の検知、需要予測に基づいた発注書(注文書)の作成といった、より高度な在庫コントロールが可能になります。棚卸し作業の手間や、チャネル間の在庫ズレによる欠品・過剰在庫のリスクを大幅に減らせます。
複数店舗・多拠点運営での活用
複数店舗を展開している小売事業者にとって、Shopify POSは店舗ごとを「ロケーション」として登録し、ロケーション別の在庫・売上・スタッフ実績を個別に把握しながら、本部側では全店舗を横断したレポートで経営状況を俯瞰できる点が大きな強みです。店舗間で在庫を融通し合う在庫移動も管理画面上で完結し、従来は電話やメールで在庫確認・調整を行っていた業務を大幅に簡素化できます。エリアマネージャーや本部担当者が、どの店舗のどの商品が売れているかをリアルタイムに把握できるようになるため、発注判断や販促の意思決定スピードも上がります。
実店舗とECの連携(BOPIS・Ship from Store)
- BOPIS(Buy Online, Pickup In Store):ECサイトで注文し、店舗で商品を受け取れる仕組み。送料負担を減らしたい顧客の「今すぐ欲しい」ニーズに応えつつ、来店機会を創出できます。
- Ship from Store(店舗発送):ECサイトの注文を、在庫を持つ最寄りの実店舗から出荷できる仕組み。倉庫在庫が欠品していても店舗在庫から出荷できるため、機会損失や配送日数の短縮につながります。
- クロスチャネル返品:ECで購入した商品を店舗で返品・交換できる、あるいはどの店舗でも返品対応できる仕組み。返品のハードルを下げることで購入の心理的ハードルも下がります。
これらの機能はストアの設定・対応地域・配送設定によって利用可否が変わるため、自社の運用体制に合わせて事前に設計しておく必要があります。特に本格的なBOPIS・Ship from Storeの運用にはPOS Proが前提となるケースが多い点に注意してください。
顧客管理(CRM)
店舗で会計したお客様の購入履歴も、ECサイトでの購入履歴も、同じ顧客プロフィールに統合されます。「店舗ではよく来店するがECでは購入したことがない顧客」「ECではリピーターだが店舗には来たことがない顧客」といったセグメントを可視化でき、チャネルをまたいだメール・LINE配信やクーポン施策の精度を高められます。従来は店舗の顧客台帳とECの会員データが別々に管理され、統合するだけで一苦労だった小売事業者にとって、大きなメリットです。
スタッフ管理
POS Lite ではスタッフアカウントの登録程度にとどまりますが、POS Proではスタッフごとの権限設定(レジ操作・返金・割引の可否など)やPINコードによるログイン管理、スタッフ別の売上実績トラッキングが可能になります。複数店舗・複数名のスタッフを抱える事業者では、不正防止や評価制度の運用にも役立ちます。
Shopifyアプリ・拡張機能との連携
Shopify POSは、Shopifyアプリストアで提供されている外部アプリとも連携できます。ポイントカード・会員ランク管理アプリ、サブスクリプション管理アプリ、店舗独自のクーポン発行アプリなどを追加することで、標準機能だけではカバーしきれない日本特有の商習慣(スタンプカード、会員ランク別割引など)にも対応しやすくなります。ただし、アプリによっては追加の月額費用や、実装のための設定・開発工数が発生するため、自社の運用にどこまで必要かを見極めたうえで導入するのが望ましいです。
売上分析・レポート
店舗別、チャネル別(EC/店舗)、スタッフ別に売上データを自動で集計・可視化できます。従来は店舗ごとにレジ締めの数字をExcelへ手入力して本部に報告していたような業務も、Shopify管理画面上でリアルタイムに確認できるようになります。POS Proではより詳細なレポート・分析機能が利用可能です。
対応ハードウェア・周辺機器
Shopify POSはソフトウェア(アプリ)だけでは会計処理が完結せず、決済端末や店舗運営に必要な周辺機器を別途用意する必要があります。代表的な機器と役割は以下の通りです。
| 周辺機器 | 役割 | 日本での導入時の注意点 |
|---|---|---|
| タブレット・スマートフォン(iPad/iPhone/Android) | Shopify POSアプリを動かすレジ本体 | 対応OSバージョンを事前に公式ヘルプセンターで確認 |
| カードリーダー・決済端末 | クレジットカード・電子マネー等の決済処理 | Shopify純正端末は主に北米向け。国内はSquare・Airペイ等のサードパーティ端末と組み合わせるのが一般的 |
| レシートプリンター | 紙のレシート発行 | 対応モデルが限られるため事前確認が必須 |
| バーコードスキャナー | 商品バーコードの読み取り・会計時間の短縮 | USB/Bluetooth接続タイプなど接続方式を確認 |
| キャッシュドロワー | 現金の保管・管理 | レシートプリンターと連動するモデルが便利 |
| タブレットスタンド・キオスク什器 | レジ周りの什器・省スペース化 | 店舗の動線・接客スタイルに合わせて選定 |
ハードウェア選定を誤ると、開店後に「決済端末とアプリの連携がうまくいかない」「レシートが印字されない」といったトラブルが起きやすくなります。導入前に必ず公式ヘルプセンターで対応機器リストを確認し、可能であれば本番導入前に実機でのテストを行うことをおすすめします。
Shopify POSのメリット
Shopify POSを導入することで得られるメリットは、単なる会計業務の効率化にとどまりません。実店舗とECを横断した経営判断・マーケティング施策の質を底上げできる点まで含めて整理します。
- 在庫管理の一元化:実店舗とECの在庫がリアルタイムで連携され、欠品・過剰在庫や手動調整の手間を削減できる
- 購買体験の向上:BOPIS・Ship from Storeなどにより、顧客がチャネルを自由に行き来できる購買体験を提供できる
- 業務効率化によるコスト削減:在庫更新・売上集計・顧客情報の統合・レポート作成が自動化され、スタッフの作業時間や人的ミスを削減できる
- 顧客データの統合によるマーケティング精度向上:店舗・EC双方の購買履歴をもとにした、より的確な施策設計が可能
- 直感的な操作性:スマートグリッドUIによりITに不慣れなスタッフでも短期間で操作を習得しやすい
- Shopifyエコシステムとの親和性:既存のShopifyアプリ・テーマ・決済まわりの資産をそのまま活かせる
これらのメリットに共通するのは、「これまで店舗とECで別々に発生していた作業・データを一本化できる」という点です。たとえば在庫の手動調整に毎日30分かけていた店舗であれば、月換算で10時間以上の工数削減につながる可能性があります。削減できた時間を接客やSNS発信、ECの改善施策に振り向けられる点も、間接的ながら見逃せないメリットです。
Shopify POSのデメリット・注意点
Shopify POSは強力な仕組みですが、導入前に押さえておくべき制約もあります。
- Shopify本体の契約が前提:POS単体では利用できず、Shopifyの月額プランへの加入が必須です。実店舗のみを運営していてECサイトを持たない事業者にとっては、オーバースペック・割高に感じる可能性があります。
- 日本国内でのハードウェア対応に制限:Shopify純正のカードリーダー(Tap & Chipなど)は主に北米向けで、日本では利用できないモデルがあります。国内では、Square・AirペイなどのサードパーティのモバイルPOS決済端末と組み合わせて運用するのが一般的です。レシートプリンターやバーコードスキャナーについても、対応モデルは公式ヘルプセンターで事前に確認が必要です。
- 本格的なオムニチャネル機能はPro限定:BOPIS、Ship from Store、詳細なスタッフ権限管理などはPOS Lite(無料)では利用できず、POS Proへのアップグレードが前提になります。
- 店舗独自の商習慣への対応:軽減税率や日本特有のポイント制度、複雑な割引ルールなど、業態によっては追加のアプリ連携やカスタマイズが必要になる場合があります。
- 運用設計のコスト:システムを導入するだけでは効果が出ません。スタッフ研修や店舗オペレーションの見直し、返品・在庫確認フローの整理など、運用面の設計に一定の工数がかかります。
特に日本国内での導入においては、ハードウェアまわりの制約と、業務フローの見直しコストの2点を過小評価しないことが重要です。「機能は魅力的だが、実際に自社の店舗運用に落とし込めるか」を、契約前にできるだけ具体的にシミュレーションしておくと、導入後のギャップを防げます。
Shopify POSの導入・使い方・設定手順
Shopify POSは、既にShopifyアカウントを持っていれば比較的短期間で導入できます。ここでは基本的な導入ステップを解説します。
- Shopify POSアプリのダウンロード・インストール:App StoreまたはGoogle PlayからShopify POSアプリを無料でダウンロードし、Shopifyアカウントでログインします。事前にOSバージョンの互換性を公式ヘルプセンターで確認しておきましょう。
- 販売チャネルにPOSを追加:Shopify管理画面の「販売チャネル」から「Point of Sale」を追加します。追加すると、実店舗での販売データがオンラインストアと自動的に同期される状態になります。
- 商品・在庫の設定:商品ごとに「オンラインストアのみ」「POS(実店舗)のみ」「両方」など、販売するチャネルを設定します。店舗限定商品・EC限定商品がある場合は、この段階で切り分けておくとトラブルを防げます。
- 決済端末・周辺機器の準備:カードリーダー、レシートプリンター、バーコードスキャナー、キャッシュドロワーなど必要な周辺機器を選定・接続します。日本国内では、Shopifyと連携可能なサードパーティの決済サービスの端末を用意するのが基本です。
- スタッフアカウントと権限設定(POS Pro利用時):スタッフごとのPINコード・権限(値引き・返金の可否など)を設定します。
- テスト運用・動作確認:カード決済・現金決済・複数決済の組み合わせ・返品処理など、想定される決済パターンを本番稼働前に一通りテストします。在庫同期が正しく反映されるかも必ず確認しましょう。
- 本番稼働とスタッフへの周知:店舗オペレーション全体(開店準備・レジ締め・返品対応・在庫確認のタイミングなど)をマニュアル化し、スタッフに共有したうえで運用を開始します。
ポイントは、「システムの設定」だけで終わらせず、店舗オペレーション全体をPOS導入に合わせて見直すことです。特に、POSと決済端末を別々に操作する運用になる場合は、レジ締め時の金額不一致などのトラブルが起きやすいため、初期のテスト運用に十分な時間を確保することをおすすめします。
導入にかかる期間は、単一店舗・POS Liteのみのシンプルな構成であれば数日〜2週間程度、複数店舗でのPOS Pro導入やBOPIS・Ship from Storeまで含めた本格的なオムニチャネル設計となると1〜3ヶ月程度を見込むケースが一般的です。特に既存の他社POSレジからの乗り換えや、独自の割引・ポイント制度を再現する場合は、要件整理から逆算してスケジュールを組むことをおすすめします。社内に専任担当者を置けない場合は、設定代行やOMO設計を含めて外部のShopifyパートナーに相談するのも現実的な選択肢です。
Shopify POSの料金・プラン
Shopify POSには、無料の「POS Lite」と有料の「POS Pro」の2つのプランがあります。すべてのShopify契約プランにはPOS Liteが標準で付属しており、追加費用なしで基本的な実店舗決済・在庫連携が可能です。より高度なオムニチャネル機能・複数店舗運営・スタッフ管理が必要な場合は、ロケーション単位でPOS Proにアップグレードします。
| 比較項目 | Shopify POS Lite(無料) | Shopify POS Pro(有料) |
|---|---|---|
| 料金 | 無料(Shopify契約プランに標準搭載) | 1ロケームあたり月額13,000円前後($89/月)とされています。最新の金額・為替影響は公式サイトでご確認ください |
| 基本決済機能 | クレジットカード・デビットカード等の決済処理 | Liteの機能をすべて含む |
| 在庫管理 | オンラインと実店舗の在庫連携(基本のみ) | 複数拠点間の在庫移動、需要予測、デッドストック検知、発注書作成 |
| BOPIS/Ship from Store | 非対応 | 対応 |
| クロスチャネル返品 | 販売した店舗のみで返品対応可 | どの店舗でも返品・交換対応可 |
| スタッフ管理 | スタッフアカウント登録のみ | PINコード・権限別アクセス管理、スタッフ別売上トラッキング |
| レポート | 基本的な売上レポートのみ | 店舗別・スタッフ別の詳細分析レポート |
| 向いている店舗 | ポップアップ・単一店舗・小規模運営 | 常設店舗・複数店舗運営・本格的なオムニチャネル戦略 |
なお、Shopify Plus契約の場合、最初の20店舗まではPOS Proが追加料金なしで利用できるとされています。多店舗展開を見据えている中〜大規模の小売事業者は、Shopify Plusへの移行とあわせて検討する価値があります。決済手数料や周辺機器の費用は別途発生するため、総コストは公式サイトのシミュレーションや代理店への相談で事前に把握しておきましょう。
大規模チェーン展開とShopify Plus
数十店舗規模のチェーン展開や、海外拠点も含めたグローバル展開を視野に入れている小売事業者にとっては、Shopify Plus(エンタープライズ向け上位プラン)への移行が現実的な選択肢になります。Shopify Plusでは、POS Proの複数店舗適用に加えて、API連携の柔軟性やカスタマイズ性、専任サポート体制なども強化されるとされています。店舗数の増加とともにShopify POSの運用コストも変わってくるため、事業計画の段階でShopify Plusの契約条件を確認し、中長期の店舗展開シナリオに沿ったプラン選定を行うことをおすすめします。
向いている事業者・向いていない事業者
Shopify POSはあらゆる小売事業者に万能というわけではありません。事業のフェーズ・店舗数・ECとの連携ニーズによって、Lite・Proそれぞれが向いているケースと、そもそも他の選択肢の方が適しているケースを整理します。
Shopify POS(Lite)が向いているケース
- ポップアップストアやマルシェ・催事への出店が中心の事業者
- 個人経営・単一店舗で、まずは決済とEC在庫の連携だけを試したい事業者
- 出張販売・イベント出店が多く、ワイヤレス決済端末との組み合わせで運用したい事業者
- すでにShopifyでECを運営しており、実店舗の会計を最小コストでEC連携させたい事業者
Shopify POS Proが向いているケース
- 常設店舗を本格的に運営し、複数店舗への展開を計画している小売事業者
- スタッフの権限管理・実績トラッキングを行いたい事業者
- BOPIS・Ship from Storeなど、オムニチャネル施策で顧客体験と売上の両方を伸ばしたい事業者
- 在庫の需要予測やデッドストック管理まで踏み込んで在庫回転率を改善したい事業者
Shopify POSがあまり向いていないケース
- 実店舗のみでECサイトを展開する予定が一切なく、シンプルな会計機能だけを求めている事業者(この場合はAirレジなど無料の国産POSレジの方がコスト効率が良いことがあります)
- 日本特有の複雑なポイント制度・軽減税率対応を細かくカスタマイズしたい事業者(追加のアプリ連携や開発コストを見込む必要があります)
- Shopify自体を利用する予定がなく、他のECカートを使い続ける事業者
小売事業者のためのOMO活用アイデア|Shopify POSで売上を伸ばす実践ノウハウ
Shopify POSを導入しただけでは、売上は自動的には伸びません。重要なのは「実店舗とECの在庫・顧客・スタッフのデータがつながっている」という土台を、具体的な集客・CVR改善施策にどう落とし込むかです。ここでは、実店舗を持つ小売事業者がShopify POSを軸にOMOを設計し、実際に成果へつなげるための実践的な打ち手を紹介します。
たとえば、複数店舗を展開するアパレル小売業を例に考えてみます。従来は店舗ごとに在庫台帳が分かれ、ECサイトの在庫は別システムで管理されていたため、「ECで売り切れ表示の商品が、実は特定の店舗には残っている」状態が常態化していました。Shopify POS導入後は、全店舗とECの在庫が単一のデータベースで管理されるようになり、店頭スタッフがその場でEC在庫・他店舗在庫を確認して顧客に案内できるようになります。あわせてBOPISと店舗受取限定クーポンを組み合わせ、店舗顧客のEC会員登録を促進する導線を整備すれば、機会損失の削減と新規EC顧客の獲得を同時に進められます。以下で紹介する打ち手は、こうした変化を実際の売上・集客成果につなげるための具体策です。
1. 「店舗にない在庫」をECで即座に補完する導線をつくる
店舗で欲しい商品のサイズ・カラーが欠品していた場合、多くの顧客はその場で離脱してしまいます。Shopify POSで在庫が一元化されていれば、店頭のスタッフがその場でタブレット等からEC在庫を確認し、「このサイズはオンラインストアからご注文いただけます。ご自宅にお届けするか、後日店舗受け取りも可能です」と案内できます。この“その場での補完提案”ができるかどうかで、機会損失の量は大きく変わります。店舗スタッフに、EC在庫確認と注文代行の簡単なオペレーションを教育しておくことが鍵になります。
2. BOPISを「送料無料」以上の集客装置として設計する
BOPIS(オンライン購入・店舗受取)は単なる送料削減策ではなく、来店動機を作る強力な集客施策です。店舗受け取り時に「ついで買い」を誘発するレイアウトを工夫したり、受け取り時限定のクーポンやノベルティを用意したりすることで、来店1回あたりの客単価を引き上げられます。ECで購入完了した顧客に「店舗受け取りなら本日中にお渡し可能です」と案内するだけでも、即時性を求める顧客の背中を押せます。
3. Ship from Storeで「地域の在庫」を売上に変える
複数店舗を運営している場合、本部倉庫の在庫が切れていても、近隣店舗に在庫が眠っているケースは珍しくありません。Ship from Storeを活用すれば、ECサイトの注文に対して最寄りの店舗在庫から出荷でき、欠品による販売機会の損失と配送リードタイムの両方を改善できます。特に季節商材やサイズ・カラー展開が多いアパレル・雑貨系の小売業では、この仕組みの有無が在庫回転率と売上に直結します。
4. 店舗顧客をEC会員化し、LTVを底上げする
Shopify POSでは店舗の会計時に顧客情報を登録・紐付けできます。会計時に「メールアドレスをご登録いただくと次回使えるクーポンをお送りします」といった一言を添えるだけで、店舗顧客をEC会員データベースに取り込めます。統合された顧客データをもとに、購入履歴に応じたメルマガ・LINE配信、誕生月クーポン、休眠顧客への再来店施策などを設計すれば、店舗単体では実現しづらかった継続的なコミュニケーションが可能になり、LTV(顧客生涯価値)の底上げにつながります。
5. クロスチャネル返品でEC購入の心理的ハードルを下げる
ECサイトでの購入をためらう理由の一つに「サイズが合わなかったら返品が面倒」という不安があります。「オンラインで購入した商品も、お近くの店舗で返品・交換できます」と明示するだけで、EC購入時の心理的ハードルを下げ、カゴ落ち防止・CVR向上に寄与します。返品対応で来店した顧客に、店舗スタッフが別商品を提案してその場で購入につなげる、といった追加の売上機会も生まれます。
6. 在庫データを需要予測・発注最適化に活用する
POS Proの需要予測・デッドストック検知機能を使えば、「売れ筋なのに欠品しがちな商品」「動きが悪く在庫を圧迫している商品」を可視化できます。これをもとに、店舗ごとの発注量を調整したり、動きの悪い在庫をEC限定セールで販売してキャッシュフローを改善したりと、在庫を「持っているだけの資産」から「売上を生む資産」に変えられます。
7. 店舗スタッフをEC集客のチャネルとして巻き込む
スタッフ別の販売実績が可視化できるPOS Proの機能を活かし、店舗スタッフがSNSやライブコマースで紹介した商品の購入を、店舗経由・EC経由問わずスタッフの実績としてカウントする仕組みを作れば、スタッフのEC集客への協力意欲を高められます。店舗の接客力をECの売上にも波及させる、いわゆる「スタッフコマース」的な発想は、実店舗を持つ小売事業者ならではの強みです。
8. 広告運用とPOSデータをかけ合わせて来店・購入の両方を狙う
Shopifyに蓄積された購買データをもとに、既存顧客に似た属性へ広告を配信したり、店舗周辺エリアへの来店促進広告を打ったりすることで、広告予算の無駄打ちを減らせます。「ECで一度離脱したが店舗在庫はある」「店舗でよく購入するが休眠気味」といったセグメントに合わせて広告クリエイティブやオファーを変えることで、限られた広告費でもCVRと来店率の両方を底上げできます。この設計にはOMOの理解に加えて広告運用の専門知識が必要になるため、社内リソースだけで完結させるのが難しい場合は、専門家への相談も選択肢になります。
9. ポップアップストア・催事出店をEC集客の起点にする
期間限定のポップアップストアや百貨店の催事出店は、新規顧客との接点として非常に有効ですが、その場限りの売上で終わらせてしまうのはもったいない機会です。Shopify POS Liteでも、会計時に顧客情報を取得しEC会員へ誘導する導線は十分に作れます。催事来場者限定のECクーポンを配布し、「後日ECで再購入できる」動線を用意しておけば、単発のイベント売上を継続的なEC顧客化につなげられます。催事のたびに得られる購買データを蓄積すれば、次回出店エリアの選定や品揃えの精度も高まります。
10. 越境EC・インバウンド需要を店舗とECの両輪で取り込む
店舗に来店した訪日外国人観光客が、帰国後にリピート購入したいと思っても、実店舗にしか接点がなければその需要は取りこぼされてしまいます。ShopifyはもともとD2C・越境EC領域に強いプラットフォームであり、多通貨・多言語対応のオンラインストアと店舗のPOSデータを組み合わせることで、「店舗での購入体験」を「帰国後の越境EC購入」につなげる導線を設計できます。店頭でECサイトのQRコードを提示し、多言語対応のニュースレター登録を促すといった小さな施策の積み重ねが、インバウンド需要を一過性で終わらせないポイントです。
11. 季節・シーズンごとのOMOキャンペーンを設計する
セールシーズンや季節の変わり目には、店舗とECの在庫状況・顧客データを組み合わせたキャンペーン設計が効果を発揮します。たとえば「店舗在庫が多い商品はEC広告で送客し、ECの在庫が多い商品は店舗のPOPやスタッフ接客で販売を促す」といったチャネル横断の需給調整は、Shopify POSで在庫と売上データが統合されているからこそ可能になる打ち手です。単発のセールで終わらせず、こうしたキャンペーンを四半期・年間の販売計画に組み込んでいくことで、在庫回転率と売上の両方を安定的に改善できます。
12. OMOの成果をKPIで見える化し、改善を続ける
OMO施策は「導入して終わり」ではなく、継続的な効果測定と改善が欠かせません。Shopify POSで統合されたデータをもとに、次のようなKPIを定期的にモニタリングすることをおすすめします。
- EC化率:全売上に占めるECサイト経由の売上比率。店舗依存からの脱却度合いを測る指標
- BOPIS利用率:EC注文のうち店舗受取を選択した割合。来店動機としてどれだけ機能しているか
- 在庫回転率:店舗・EC横断でどれだけ効率的に在庫が売れているか
- クロスチャネル購入率:店舗とECの両方で購入している顧客の比率。OMO施策の定着度を示す指標
- 顧客あたり購入頻度・平均単価(LTV関連指標):CRM統合施策の効果を測る指標
これらのKPIを毎月〜四半期単位で振り返り、「BOPIS利用率が伸びていないなら店舗での案内方法を見直す」「EC化率が停滞しているなら広告出稿を強化する」といった具体的な打ち手に落とし込むサイクルを回すことで、Shopify POS導入の投資対効果を継続的に高められます。
13. スタッフ教育・運用体制を「OMO仕様」に更新する
どれほど優れた機能を導入しても、店舗スタッフがその価値を理解し、接客の中で活かせなければ効果は限定的です。「EC在庫の確認方法」「BOPIS注文の受け取り対応」「クロスチャネル返品の処理フロー」など、OMO運用に必要な業務を明文化したマニュアルを整備し、定期的な研修・ロールプレイを行うことが重要です。あわせて、スタッフ自身がECサイトの商品ページや在庫状況を日常的に見る習慣をつけることで、店頭での接客品質そのものも向上します。システム導入と人材育成は両輪であるという認識を、経営層・店長・スタッフ全員で共有することが、OMO成功の分かれ目になります。
他のPOSレジ・ツールとの違い・比較
国内で広く使われているAirレジ・スマレジ・Squareなどと比較すると、Shopify POSの立ち位置がより明確になります。
| POSレジ | 料金の目安 | 強み | 弱み・注意点 |
|---|---|---|---|
| Shopify POS | Lite無料/Pro月額13,000円前後(1ロケーション) | Shopify ECサイトとの在庫・顧客データ連携がネイティブで強力。OMO施策を一体で実装できる | 純正ハードウェアの日本対応に制限。Shopify契約が前提 |
| Airレジ | 基本無料 | シンプルで導入コストが低い。小規模店舗・個人店に人気 | EC連携は基本的に別システム・別途連携が必要 |
| スマレジ | 月額数千円〜(プランにより変動) | 多機能で複数店舗運営・詳細な分析機能に強み | ECサイトとの連携には別途POS連携アプリ・開発が必要になる場合がある |
| Square | 基本無料〜(決済手数料が主なコスト) | モバイル決済・キャッシュレス対応に強く、導入が手軽 | 本格的な在庫の多拠点管理やEC連携は限定的 |
すでにShopifyでECサイトを運営している、またはこれから実店舗×ECを本格的に統合したい小売事業者であれば、Shopify POSの優位性は明確です。一方で、ECサイトを持つ予定がなく実店舗の会計効率化だけを求める場合は、Airレジやスマレジのようなシンプルな国産POSレジの方がコストパフォーマンスに優れることもあります。自社の「今後ECをどう伸ばしたいか」という中長期の方針とあわせて選定することが重要です。
POSレジを選定する際は、料金の安さだけで比較するのではなく、次のような観点でチェックすることをおすすめします。
- 自社のECサイト(または将来のEC展開)とどこまでネイティブに連携できるか
- 複数店舗展開を見据えた場合、店舗間の在庫移動・横断レポートに対応しているか
- 日本国内で利用可能な決済端末・周辺機器がそろっているか
- スタッフ権限管理や、返品・交換のクロスチャネル対応が必要かどうか
- 将来的な越境EC・多言語・多通貨対応の必要性があるか
特に「今は実店舗のみだが、将来的にECを本格展開したい」と考えている事業者ほど、後からの乗り換えコストを避けるために、最初からEC連携を前提としたPOSレジを選んでおく価値があります。
よくある質問(FAQ)
Shopify POSの導入検討時に、小売事業者からよく寄せられる質問をまとめました。契約前の疑問解消にお役立てください。
Q1. Shopify POSだけを単体で契約することはできますか?
できません。Shopify POSはShopifyの一機能(販売チャネル)として提供されているため、Shopifyの月額プランへの契約が前提となります。実店舗のみを運営していてECサイトを持たない場合でも、Shopifyの契約が必要になる点に注意してください。
Q2. POS LiteとPOS Proはどちらを選べばいいですか?
単一店舗やポップアップ出店が中心で、まずは決済とEC在庫連携だけを試したい場合はPOS Liteで十分です。複数店舗運営、BOPIS・Ship from Storeなどのオムニチャネル施策、スタッフ権限管理まで必要になった段階でPOS Proへのアップグレードを検討するのが現実的な進め方です。
Q3. 日本国内でShopify POSのハードウェアはそのまま使えますか?
Shopify純正のカードリーダーは主に北米向けに提供されており、日本では利用できないモデルがあります。国内では、Square・Airペイなど日本国内で利用可能なサードパーティのモバイル決済サービスと組み合わせて運用するのが一般的です。レシートプリンターやバーコードスキャナーについても、対応モデルを事前に公式ヘルプセンターで確認することをおすすめします。
Q4. 複数店舗を運営していますが、店舗ごとに在庫を分けて管理できますか?
可能です。Shopifyでは店舗・倉庫それぞれを「ロケーション」として登録し、ロケーションごとに在庫数を個別に管理できます。POS Proでは、ロケーション間の在庫移動や需要予測など、より高度な複数拠点管理機能も利用できます。
Q5. 既存の他社POSレジからShopify POSへ乗り換える際、データ移行は大変ですか?
商品マスタ・顧客データ・在庫数などはCSV等でのインポートに対応していますが、既存システムのデータ形式によっては変換作業が必要になる場合があります。また、乗り換えのタイミングでは決済端末の切り替え、スタッフ研修、旧システムとの並行稼働期間の設計なども必要になるため、事前に移行スケジュールを立てておくことをおすすめします。
Q6. Shopify POSを導入すれば自動的に売上は伸びますか?
システムを導入するだけでは売上は伸びません。この記事で紹介したBOPIS導線の設計、店舗顧客のEC会員化、在庫データを活かした発注最適化、広告運用との連携など、「データがつながっている」という土台を具体的な集客・CVR施策に落とし込む設計が不可欠です。導入がゴールではなく、あくまで出発点と捉えることが重要です。
Q7. Shopify POSの導入や、店舗×ECのOMO設計を専門家に相談・代行してもらうことはできますか?
可能です。Shopify POSの初期設定やハードウェア選定だけでなく、「BOPISの導線をどう作るか」「店舗顧客をどうEC会員化するか」「在庫データをどう広告運用に活かすか」といったOMO設計・EC制作・広告運用まで含めて相談できる専門家に依頼することで、自社リソースだけでは踏み込みにくい施策まで実行に移しやすくなります。
Q8. Shopify POSを導入したのに思ったように売上が伸びません。なぜですか?
よくある原因は、システムを導入しただけで運用設計が伴っていないケースです。たとえば「BOPISは実装したが店舗スタッフに周知されておらず案内できていない」「顧客データは統合されたが、そのデータを使ったメルマガ・広告施策が設計されていない」といった状態では、機能を持て余してしまいます。在庫・顧客データという土台を、具体的な集客・CVR改善のシナリオに落とし込めているかを一度棚卸しし、必要であればEC制作・EC広告の専門家と一緒に設計を見直すことをおすすめします。
Q9. Shopify POSの決済手数料はどのくらいかかりますか?
決済手数料は、利用する決済サービス(Shopify Payments、または国内向けのサードパーティ決済サービス)や契約プランによって異なります。一般的にオンラインストアの決済手数料と対面(POS)決済の手数料は料率が別に設定されていることが多く、契約プランのグレードが上がるほど料率が優遇されるケースもあります。正確な料率は事業内容や契約時期によって変動するため、必ずShopify公式サイトおよび利用予定の決済サービスの最新情報を確認してください。
Q10. 消費税やインボイス制度への対応は問題ありませんか?
Shopify POSでもレシートへの税率表示や税込・税抜表記の設定は可能ですが、日本の軽減税率やインボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応状況は、利用する決済サービス・会計システムとの連携によって異なります。導入前に、自社の経理・税務要件を満たせるかどうかを、税理士や導入実績のあるShopifyパートナーに確認しておくと安心です。
まとめ|Shopify POSは「実店舗×ECの土台」。活かすかどうかは設計次第
Shopify POSは、実店舗の会計を効率化するだけのレジシステムではなく、実店舗とECサイトの在庫・顧客・スタッフデータを一元化し、OMOを実現するための土台です。無料のPOS Liteで基本的な在庫連携を試し、複数店舗運営やBOPIS・Ship from Storeなど本格的なオムニチャネル施策が必要になった段階でPOS Proへ移行する、という段階的な導入が現実的な進め方といえます。日本国内では純正ハードウェアの対応状況などクリアすべき点もありますが、サードパーティの決済サービスと組み合わせることで運用は十分可能です。
重要なのは、Shopify POSを導入して終わりにしないことです。店舗にない在庫をECで補完する導線、BOPISやShip from Storeを活かした来店・購入導線、顧客データを活用したCRM施策、在庫データに基づく発注最適化、そして広告運用との掛け合わせ——これらを一つひとつ設計してはじめて、Shopify POSは「売上を伸ばす仕組み」として機能します。実店舗を持つ小売事業者にとって、集客(広告)・制作(ECサイト・店舗連携の実装)・運用改善(データ活用)を一気通貫で見渡せるパートナーと組むことが、OMOを絵に描いた餅で終わらせないための近道です。
Shopify POSの導入検討は、単なるレジシステムの入れ替えではなく、「自社の実店舗とECを、これからどう連携させて売上を伸ばしていくか」を見直す絶好の機会でもあります。料金プラン・ハードウェア・運用体制のいずれか一つでも不安がある場合は、自己判断だけで進めず、Shopify導入実績のある専門家に相談しながら計画を固めていくことをおすすめします。
小売事業者のEC売上アップを、集客から制作・広告まで一気通貫で
私たちは、実店舗を持つ小売事業者・EC事業者の「作る(EC制作)」「集める(EC広告・集客)」「伸ばす(改善・運用)」をトータルで支援しています。ShopifyストアやLPの制作、店舗×ECの導線設計、SNS広告・リスティング広告の運用まで、売上に直結する打ち手をご提案します。初めての方のご相談も歓迎です。

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