Shopifyには、Amazonギフト券やApple Gift Cardのように、贈答文化に根ざした自社ストアで現金と同じように使える「ギフトカード」機能が標準で用意されています。ギフト需要の取り込みや、返金・キャンペーンの原資として活用できる便利な機能ですが、割引クーポンと混同されがちで、違いを正確に理解しないまま導入してしまうケースも少なくありません。
この記事では、Shopifyのギフトカード機能の仕組み、クーポンコードとの違い、具体的な設定方法までを、小売EC事業者の視点で整理して解説します。季節イベントごとの活用アイデアや、CRM施策としての使い方まで含めて確認することで、単発の販売機能にとどまらない活用方法が見えてきます。
ギフトカードを活用した売上・リピート施策を相談したい方へ
EC Retail Adsでは、ギフトカード・クーポン・ポイント制度などの販促施策を、CRM全体の設計と合わせて構築します。単発の機能導入で終わらせず、LTV向上につながる仕組みとして設計したい方はご相談ください。
Shopifyのギフトカードとは
Shopifyのギフトカードは、自社ストアでの買い物に現金同様に利用できる商品券のような仕組みです。決済手段の一つというより、贈答需要とCRM施策の両方に橋渡しできる販促ツールとして捉えると、活用の幅が広がります。固有のギフトカードコードが発行され、購入者はチェックアウト時にそのコードを入力することで、コード残高の範囲内で支払いに充当できます。残高が購入金額を上回る場合は自動的に繰り越されるため、顧客側での管理も難しくありません。誕生日や季節のギフトシーズンに向けた販売はもちろん、返品・返金時の代替手段や、キャンペーンの景品としても活用できる汎用性の高い機能です。
ギフトカードの2つの種類
商品として販売する
ギフトカード自体を「商品」として登録し、通常の商品と同じように販売する方法です。金額のバリエーション(3,000円、5,000円、10,000円など)を用意し、顧客が自分用またはギフト用として購入します。誕生日・記念日・季節のギフト需要を取り込める、小売ECにとって有効な販売チャネルの一つです。
報酬として顧客へ送る
購入せずに、店舗側から顧客へ無料でギフトカードを発行する方法です。誕生日クーポンの代わりとしての付与、レビュー投稿への謝礼、キャンペーン当選者への景品、返金対応の代替手段など、CRM施策の一環として活用されます。管理画面から手動で発行することも、外部ツールと連携して自動発行することも可能です。
ギフトカードとクーポンコードの違い
ギフトカードとクーポンコードは、どちらも「コードを入力して会計に反映させる」という操作は似ていますが、性質は大きく異なります。ギフトカードは「商品券」に近く、クーポンコードは「割引券」に近いイメージで捉えると理解しやすくなります。この違いを社内で共有しておくことで、販促施策を検討する際にどちらを使うべきかの判断がスムーズになり、担当者間での認識のズレも防げます。
| 項目 | ギフトカード | クーポンコード |
|---|---|---|
| 基本的な性質 | 商品券(現金同等の残高) | 割引券(金額・率の値引き) |
| 商品として販売できるか | 可能 | 不可(販売する性質のものではない) |
| 利用条件の細かい設定 | 限定的(対象商品の絞り込みなどは不可) | 対象商品・購入金額・使用回数など詳細に設定可能 |
| 他の割引との併用 | 他のクーポンと併用できる場合が多い | クーポンの種類によって併用可否が異なる |
| 残高の扱い | 使い切るまで残高が繰り越される | 1回の利用で消化される |
たとえば「新規会員登録で1,000円オフ」のような期間限定・条件付きの販促には、細かい条件設定ができるクーポンコードが向いています。一方、「誕生日プレゼントとして3,000円分をプレゼント」「返金の代わりに残高を付与する」といった、現金に近い形で残高を渡したい場合はギフトカードが適しています。目的に応じて使い分けることが重要です。クーポンコード入力欄の設置方法については、こちらの記事で詳しく解説しています。
ギフトカードとクーポンの使い分けで迷っている方へ
EC Retail Adsでは、販促目的(新規獲得・リピート促進・客単価向上など)に応じて、ギフトカード・クーポン・ポイント制度のどれを軸にすべきかを整理し、CRM施策全体の設計をサポートします。
ギフトカードのデザインで意識したいポイント
ギフトカードは実用性だけでなく、贈答品としての見栄えも購入の決め手になります。ブランドのトーン&マナーに合わせたデザインを用意し、金額バリエーションごとに視覚的な違いを持たせることで、贈る側が選びやすくなります。特に、実際に相手に渡す場面を想像できるような写真やイラストを使うと、購入率の向上につながりやすい傾向があります。デジタルギフトカードの場合はメール添付用の画像、実店舗で手渡す場合は印刷を想定したデザインなど、利用シーンに応じたフォーマットを用意しておくと親切です。
ギフトカードの設定方法
商品として販売する方法
Shopify管理画面の「商品」から新規商品を追加し、商品タイプを「ギフトカード」に設定します。金額のバリエーションを複数用意し、通常商品と同様に商品ページやコレクションに表示させることで、顧客が購入できるようになります。デザイン性の高いギフトカード画像を用意すると、贈答用としての訴求力が高まります。あわせて、ギフトカード専用のランディングページを用意し、金額バリエーションの一覧やよくある質問をまとめておくと、初めて購入する顧客の不安を減らせます。
報酬として無料発行する方法
管理画面の「商品」→「ギフトカード」から、金額・有効期限・受取人のメールアドレスなどを指定して手動で発行できます。個別対応だけでなく、CRMツールやロイヤルティアプリと連携すれば、特定条件(誕生日、購入金額到達など)を満たした顧客へ自動的にギフトカードを発行する運用も可能です。自動化を組み込む際は、発行条件が重複して二重発行されないよう、条件設定のロジックを事前にしっかり検証しておくことが重要です。
SNSやメールで顧客へ送る方法
発行したギフトカードのコードや専用リンクは、メールで直接送付する方法のほか、SNSのダイレクトメッセージなどでも共有できます。キャンペーンの当選連絡と合わせて送付する、あるいはカスタマーサポートが返金対応の一環として個別に発行するといった運用も一般的です。
小売ECでの活用ポイント
ギフトカードは、単なる決済手段の一つではなく、以下のような形で売上・リピート施策に活用できます。
- 季節のギフトシーズン(母の日・父の日・クリスマスなど)に合わせた販売強化
- 返品・返金対応の選択肢として、現金返金の代わりにギフトカードを提案し再購入につなげる
- 誕生日特典やロイヤルティプログラムの報酬としての活用(現金返金より自社での再購入を促せるため、関係継続の手段としても有効)
- ギフトカード購入者自身が後日追加購入する「セルフギフト」需要の取り込み
ポイント制度やレビュー施策と組み合わせることで、ギフトカードを軸にしたリピート促進の仕組みをより強化できます。ポイント・レビュー機能の導入については、こちらの記事もあわせてご覧ください。
ギフトカードとポイント制度の違い
ギフトカードとしばしば混同されるのが、購入額に応じて付与される「ポイント」制度です。ポイントは購入のたびに少しずつ蓄積され、一定額に達すると利用できるようになる仕組みが一般的で、リピート購入を促す効果に優れています。一方、ギフトカードは金額単位で発行・利用される点が異なり、贈答用や一括での残高付与に向いています。両者は競合する施策ではなく、新規獲得と贈答需要の取り込みにはギフトカード、継続利用の動機づけにはポイント制度、というように役割を分けて併用している店舗も少なくありません。
よくある質問
Q. ギフトカードに有効期限は設定できますか?
A. 発行時に有効期限を設定することができます。ただし、地域や法令によっては商品券・プリペイド型残高の有効期限に関する規制がある場合があるため、有効期限を設ける際は該当法令を確認しておくことをおすすめします。
Q. ギフトカードの販売には手数料がかかりますか?
A. 通常の商品と同様に決済手数料が発生します。また、Shopifyの規約改定により、外部管理のギフトカード運用など特定の条件下で追加の取引手数料が発生する場合があるため、最新の規約を確認することをおすすめします。
Q. ギフトカードの残高は一部だけ使うこともできますか?
A. はい、購入金額がギフトカードの残高より少ない場合は、残額が繰り越されて次回以降の購入でも利用できます。
Q. クーポンとギフトカードはどちらから導入すべきですか?
A. 期間限定の販促やセグメント別の割引を行いたい場合はクーポンコードから、贈答需要の取り込みやCRM施策としての残高付与を行いたい場合はギフトカードから着手するのが分かりやすい進め方です。両方を目的別に使い分けている店舗も多くあります。
Q. ギフトカードは会計上どのように処理すればよいですか?
A. ギフトカードは販売時点では「前受金」に近い性質を持ち、実際に商品購入で使用された時点で売上として計上する考え方が一般的です。具体的な会計処理は事業者の状況によって異なるため、税理士など専門家に確認しながら運用することをおすすめします。
Q. 未使用のまま失効したギフトカードの残高はどうなりますか?
A. 有効期限を設定している場合、期限切れ後の残高の扱いについても事前にルールを明確にしておく必要があります。地域や商品券に関する法令によって扱いが異なる場合があるため、規約に明記した上で運用することが望まれます。
Q. 実店舗とオンラインストアの両方でギフトカードを使えるようにできますか?
A. Shopify POSと連携している場合、オンラインで発行したギフトカードを実店舗のレジでも利用できるように設定することが可能です。オンラインと実店舗を横断した顧客体験を提供したい店舗にとって有効な活用方法です。
ギフトカードを含めた販促設計をまとめて相談したい方へ
EC Retail Adsでは、ギフトカードの導入設計から、季節キャンペーンでの活用、広告と連動した販促企画までを一貫してサポートします。まずは自社の販促課題の整理からご相談ください。
業態別に見る、ギフトカード活用のポイント
アパレル・雑貨店
誕生日や記念日のギフト需要が多い業態です。ラッピングやメッセージカードといった付加価値と組み合わせることで、ギフトカード単体よりも贈答用としての訴求力を高められます。
コスメ・美容系
自分用に加えて贈答需要も多い業態です。金額バリエーションを複数用意し、贈る相手との関係性に応じて選びやすくすることで、購入のハードルを下げられます。
実店舗を併設する小売店
オンラインと実店舗の両方でギフトカードを使えるようにすることで、贈られた側がどちらでも使える利便性を提供でき、実店舗への送客効果も期待できます。
導入前後のチェックリスト
導入前に確認すること
- ギフトカードの利用目的(贈答需要の取り込みか、CRM施策としての活用か)を明確にしたか
- 金額バリエーションと有効期限の方針を決めたか
- 会計処理の方法について確認したか
- 実店舗併用の有無、Shopify POSとの連携要否を確認したか
導入後に確認すること
- ギフトカードの購入率、利用率(発行してから実際に使われるまでの転換率)
- ギフトカード利用者の客単価が通常の顧客と比べてどう違うか
- 季節イベント時の販売数の伸びを翌年以降の計画に反映できているか
- 失効間近の残高保有者へのリマインド施策ができているか
小売EC担当者が陥りがちな失敗例と対策
失敗例1:ギフトカードの存在に気づいてもらえない
商品ページの目立たない場所にひっそりと掲載しているだけでは、贈答需要のあるシーズンでも見つけてもらえません。季節イベント前には特集ページやトップページでの露出を強化することをおすすめします。
失敗例2:発行のたびに手動対応してしまう
CRM施策としてギフトカードを頻繁に発行する場合、毎回手動で対応していると業務負荷が大きくなります。誕生日特典など定型的な発行は、外部ツールとの連携による自動化を検討することをおすすめします。
失敗例3:ギフトカードとクーポンの使い分けが曖昧なまま運用する
目的を整理しないまま両方を併用すると、割引が重複しすぎて粗利を圧迫したり、逆にどちらの施策も中途半端になったりすることがあります。新規獲得はクーポン、既存顧客のロイヤルティ施策はギフトカードといった役割分担を明確にしておくことが重要です。
他ツールとの組み合わせ方
CRM・ロイヤルティプログラムとの連携
誕生日特典や購入金額到達によるギフトカードの自動付与を、CRMツールと連携させることで、手動運用の負荷をかけずにロイヤルティ施策を継続できます。
メール・LINE配信との連携
季節イベント前のギフトカード販売告知や、残高保有者への利用リマインドをメール・LINEで配信することで、発行しただけで終わらせず、実際の利用・再訪問につなげられます。
導入までの進め方(目安スケジュール)
- 1週目:ギフトカードの利用目的、金額バリエーション、有効期限方針の検討
- 2週目:商品としてのギフトカード登録、デザイン用意、会計処理方法の確認
- 3週目:CRM施策としての発行フローの整備(誕生日特典など)
- 4週目以降:季節イベントに向けた特集ページ・告知施策の準備
効果測定で見るべき指標
ギフトカード施策の効果を継続的に把握するために、以下の指標を定点観測することをおすすめします。
- ギフトカードの販売数・販売金額:商品としての売上そのもの
- 利用率:発行されたギフトカードのうち、実際に購入で使用された割合
- ギフトカード利用時の客単価:残高に上乗せして追加購入する「セルフギフト」の発生度合い
- 季節イベント別の販売傾向:母の日・父の日・クリスマスなど、イベントごとの需要の大きさ
これらを毎年蓄積していくことで、翌年以降のイベント時期の販売計画や、在庫・広告予算の配分をより精度高く立てられるようになります。
社内での運用体制づくり
ギフトカードの運用は、EC担当者だけでなく、カスタマーサポート・経理担当者との連携が欠かせません。特に返金対応の代替としてギフトカードを発行する場合、経理側での前受金の管理方法や、税務上の取り扱いについて事前にすり合わせておくことが重要です。また、有効期限が近いギフトカードの保有者リストを定期的に確認し、利用を促すコミュニケーションを取れる体制を整えておくと、失効による顧客満足度の低下を防げます。
季節イベント別の活用アイデア
ギフトカードの需要は、特定の季節イベントに集中する傾向があります。年間を通じたイベントカレンダーを整理し、事前に準備しておくことをおすすめします。
| イベント | 時期の目安 | 訴求のポイント |
|---|---|---|
| 母の日・父の日 | 5月・6月 | 「何を贈るか迷ったら」という贈答の定番訴求 |
| お中元・お歳暮シーズン | 7月・12月 | 目上の方への贈答としての体裁を整えたデザイン |
| クリスマス | 12月 | ラッピングやメッセージカードとのセット販売 |
| 新生活・卒業入学シーズン | 3月・4月 | お祝い金の代わりとしての活用提案 |
それぞれのイベント時期に合わせて、特集ページの公開やメール配信のタイミングを事前にスケジュール化しておくことで、機会損失を防ぎながら計画的に販売を強化できます。
まとめ:目的に応じてクーポンと使い分ける
Shopifyのギフトカードは、商品として販売できる点、そして現金に近い形で残高を付与できる点が、割引主体のクーポンコードとの大きな違いです。この特性を理解した上で自社の販促カレンダーに落とし込むことが、継続的な成果につながります。ギフト需要の取り込みや返金対応の選択肢として活用できるだけでなく、CRM施策の一環として組み込むことで、リピート促進にもつなげられます。単なる決済オプションの一つとしてではなく、年間の販促計画に組み込む前提で検討することをおすすめします。自社の販促目的に応じて、クーポンとギフトカードを適切に使い分けることが、小売ECでの効果的な活用のポイントです。



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